素材の味は、殺さないでほしい
小説や漫画を原作としたメディア展開が最近多いですが、それについて思ったこと。あくまで個人の意見です。
アイドル要素は少なめ、ちょっとだけ「書店ガール」のネタバレ含みます。
最近のドラマや映画には原作があるものが多いです。
たとえば今後あるJUMPのお仕事では、
・戦う!書店ガール(碧野圭 作、「書店ガール」シリーズ)
・ドS刑事(七尾与史 作、「ドS刑事」シリーズ)
・暗殺教室(松井優征 作、「暗殺教室」)
・グラスホッパー(伊坂幸太郎 作、「グラスホッパー」)
・ピンクとグレー(加藤シゲアキ 作、「ピンクとグレー」)
と、原作がある作品が多いです。
原作がある作品にはもちろん原作のファンがいるため、それに応じる演技が求められます。
たとえば、暗殺教室で主演を演じることになった山田くんはいかに原作に近い渚になれるか、中性的な雰囲気を出せるかを考えて演じたそう。
これは本人も暗殺教室のファンだったからだと思います。*1
かつて、ビブリアのドラマ化の際、G力さんが「栞子のイメージ像を全部覆そうかと思っています」と言ったことでG力さんがいない場所で炎上したことは記憶に新しいと思います。
正直、これは言っちゃいけないと思いました。敵を作りすぎです。
さて、今回実はこういうことを書きたいんじゃなくて、
「原作と伝えたいことが離れちゃうのはどうなの?」ということを書きたいと思います。
いのちゃんのファンなので、出演するドラマに原作があると聞き「どういう役をやるんだろう~」と思い、「書店ガール」シリーズを買いました。
- 作者: 碧野圭
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物語自体は面白いです。本屋さんの実情や、厳しい状況に対する対策をわかりやすくテンポよく読むことができます。
小説をあまり読まない方でも読みやすい内容、書き方と思います。
ですが、一つ思ったことがあります。
「内容はドラマのアピールポイントと微妙に違う?」です。
原作をとりあえず2まで*2読んで、このシリーズに何か解説を付けるなら、「衝突」って言葉は使わないかなと思います。
原作ではまゆゆ演じる亜紀は、結婚→妊娠・出産→子育てを経験し、その立場で「女性が働く」ということを、稲森いずみさんが演じる理子は、副店長や店長、エリアマネージャーと、職場を変えながらキャリアアップしていくということから「女性が働く」ということを表現しています。
そう、これは「女性が働く」に焦点を当てたシリーズでもあると感じました。
この二人は年齢も立場も違うので、もちろん意見が対立します。けれどそれは人間的・性格の不一致でぶつかる、というより、仕事をするうえで「上司と部下が話し合う」中での議論に近いと感じました。
最初の最初はもうそれはちょっとドロドロなんじゃないの?的な展開もありますが、結構早い段階で2人は協力します。
だからドラマのHPやニュースで読んだ時の印象とは異なっています。
戦う!書店ガール | 関西テレビ放送 KTV
そもそも亜紀が未婚なので、この結婚とか出産とかで働くことに迷うという描写がなくなってしまうのが少し残念に思います。
「女性が働く」に関して、まあ避けては通れない道だからです。
この小説からこのテーマを除くと、どうなってしまうのかなと感じました。
けれど、まだドラマは始まっていません。
理子役に稲森いずみさんを選んだことは正解だと思います。芯は強いけど、とにかく強い!という女性*3では向かないと思ったからです。
男性書店員役のチョイスも伊野尾ちゃん、千葉くんと、なかなか似合う方を揃えているなと思います。
脚本も、女性の世界をドロドロとよく書いている方なので、心理描写などは楽しみに思っています。
ただ、「ゆりあちゃんや!」でおなじみのAKB48木﨑ゆりあちゃんも出演するそうで、伊野尾ちゃんも含め、ただの「アイドルドラマ」にならないことを祈ります。
原作があるから、忠実でなければいけない。
このことを強制するつもりはないけれど、その本が伝えたいことは変えてほしくないと思います。
原作があるからこそ、テレビは素敵なスパイスを加えて、素材の味を殺さないようにしてほしいと願っています。